第2回生態心理学セミナー

講師:柴田夏実(北海道大学大学院国際食資源学院)

「海棲哺乳類のアフォーダンス知覚:間隙通過研究と漁業への応用」

指定討論者 友野貴之

日時:2026年8月19日(水)13:00〜15:00

開催方法:オンライン

参加費:日本生態心理学会会員 無料

    非学会員 500円

要参加登録 参加登録は https://2nd-jsep-seminar.peatix.com
問い合わせ先:企画・広報委員会 event@jsep-home.jp

第2回生態心理学セミナーでは、北海道大学の柴田夏実さんを講師に迎え、「海棲哺乳類のアフォーダンス知覚:間隙通過研究と漁業への応用」と題してご講演いただきます。ヒトの間隙通過研究はアフォーダンスの実験的研究の範例としてさまざまな形で行われてきました。本講演では、従来はヒトを中心に進められてきたアフォーダンス研究が海棲哺乳類へとどのように拡張されるのかを学ぶとともに、そうした研究が漁業の実践にどのような意義をもつのかについて考えます。指定討論者として、ヒトの間隙通過研究の第一人者である友野貴之さん(札幌学院大学)にもご登壇いただき、間隙通過を典型とするアフォーダンス研究の意義や今後の展開、非ヒト動物におけるアフォーダンス研究の課題といったことについても議論を深める予定です。ぜひご参加ください。
 
【概要】
イルカをはじめとする海棲哺乳類と漁業との軋轢が問題視されている。漁獲物の食害や漁具の損傷は漁業者に損害をもたらす一方、混獲(漁獲対象ではない種を誤って漁獲すること)は海棲哺乳類にとって大きな脅威となる。定置網のようなトラップ型の漁具では、網に格子状の構造物を設置し、海棲哺乳類の侵入を防ぐ方策が試みられている。このような漁具改良においては、海棲哺乳類が通過を忌避する間隙の性質を理解することが重要である。
本セミナーでは、アザラシ、トド、イルカ等を対象として実施されてきた格子状構造物による漁具改良事例を概観する。続いて、演者がイルカを対象に実施している間隙通過研究を紹介し、イルカが自身の身体と環境との関係をどのように知覚し、行動しているのかを考察する。さらに、イルカが自身の遊泳運動にもとづいて行動を調整している可能性について検討する。最後に、これらの知見をふまえ、漁獲量の減少を抑えながら海棲哺乳類の侵入を防ぐ格子状構造物の設計と実装について議論する。
 
【講師紹介】
柴田 夏実(しばた なつみ) 北海道大学大学院国際食資源学院
動物行動学の知見と生態心理学の認知科学的アプローチを融合し、「定置網における鯨類の混獲防止」という漁業現場の実践的課題に取り組んでいる。イルカの身体的特徴と魚網の性質(隙間の方向や大きさ)との関係に注目した間隙通過の実験的研究が高く評価され、2025年度に日本哺乳類学会最優秀発表賞、InternationalFisheries Symposium最優秀ポスター賞を受賞した。また日本生態心理学会においても、今年3
月に札幌学院大学で開催された第10回研究大会で優秀ポスター発表賞を受賞している。